研究内容
●南極天文学の推進:南極10m級テラヘルツ望遠鏡
南極の昭和基地から約1000km内陸側に日本の国立極地研究所のドームふじ基地があります。 ここは標高が3800mと高く、気温が-20℃~-80℃の極寒の地であるため、水蒸気が極めて少なく, 宇宙から来るサブミリ波、テラヘルツ波、赤外線の大気透過度が格段に高く, これらの波長域で宇宙を観測するには地上で最も且つ圧倒的に優れた天文観測地点です。 実際、2006年12月~2007年1月および2009年の現地調査による220GHz大気透過率や最近の米国による 南極内陸部の水蒸気量(可降水量)の測定でも実際に証明されています。さらにここより約60km 内陸側にあって水蒸気量がさらに1割ほど少ない新ドームふじ基地を建設し(冬季50%レベルで可降水量~0.14mm), ここに筑波大学と国立極地研究所や国立天文台および日本の南極天文コンソーシアムが協力して 口径10m級のサブミリ・テラヘルツ望遠鏡を設置して、世界最高条件のもとで銀河形成の解明や遠方 宇宙を観測する計画を進めています。さらに将来的には口径30m級大型テラヘルツ望遠鏡の建設も計画しています。 (計画進捗履歴)
●ALMA(アルマ=アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)による銀河や遠方宇宙の研究
ALMAは口径12mと7mの高精度アンテナ合計66台を最大10km四方に配置してミリ波からサブミリ波(80-950GHz) で観測を行う世界最大の電波干渉計計画です。2013年に完成記念式典を行い、現在鋭意観測が行われています (日本側は国立天文台が中心となって推進)。これを用いて活動的銀河中心核の質量降着や遠方宇宙での銀河の形成 進化などの観測を行います。(↑ALMAー国立天文台ー)
●野辺山45m鏡・VLA・VLBA等を用いた銀河やブラックホールの研究
銀河の主要構成要素は星とガスであり、また星はガスから誕生するので 星形成過程を研究するためにはガスの観測が必要不可欠です。ガスは原子ガスと分子ガスから成りますが星形成に密接に かかわるのは分子ガスの方です。渦巻銀河などいろいろな銀河における分子ガスを国立天文台の野辺山45m電波望遠鏡 などを用いて観測し、銀河の構造やガスのダイナミックス、活動的銀河中心核などを研究しています。(図:渦巻銀河M51のCO強度の分布)。